美容師と専門家が選ぶおすすめのヘアミルク
ヘアミルクとは?
「ヘアミルク」とは、水分と油分をバランス良く配合した、乳液状の洗い流さないトリートメントです。水分ベースの成分と油分ベースの成分を乳化させて作られており、様々な髪質になじみやすいのが特長です。
一般的に、ヘアミストよりもしっとりし、ヘアオイルよりも軽い使用感で、髪の内部補修と外部の質感調整を両立させます。ごわつきやパサつきを抑え、しっとりしなやかな髪へ導きます。
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ヘアミルクと他のアイテムとの違い
アウトバスケアにはミルクの他にオイルやミストなど様々な種類があります。それぞれの役割を理解し、髪の状態や目的に合わせて使い分けることが美髪への近道です。

ヘアオイルとの違い
ヘアミルクとヘアオイルの最も大きな違いは、水分を含むかどうかです。ヘアミルクは水分と油分を乳化させているため、ダメージ部分にもなじみやすく、水分と油分をバランス良く補給できます。
一方でヘアオイルは油性成分が主体で、髪表面をコーティングして艶を与えたり、水分の蒸発を防いだりする役割が主となります。よりしっとりとしたまとまりや艶感を求める場合に適しています。
ポンプ式容器製品に多い、揮発オイルを主剤とするヘアオイルは、使用直後の滑り性は良い感触ですが、10分もたつと「物足りなくなる」とする声があります。揮発するオイルが主剤だからです。その為、SNS動画等では、毛先に揉みこむや、挟み込む使用法を提案していると感じます。いわば、可能な限り、ダメージ部にオイルを付着させる工夫です。また、使用量は意外と多く必要なる傾向があります。
ヘアオイルに共通のおすすめ使用法はありません、使用する製品の解説が大切になります。オイルの特徴は、「瞬時の付着性」ですから、均一分散を意識した使用が基本です。
ヘアミストとの違い
ヘアミストは水分が主体のウォーターベースのトリートメントです。ダメージを受けた髪は親水性(水となじみやすい性質)になるため、内部補修成分を浸透させる目的では、水系で粘性の低いミストタイプが最も効果的とされています。
ヘアミルクはミストよりも油分を多く含むため、内部補修効果に加え、髪表面のパサつきやごわつきを抑える効果がより高い傾向にあります。
VUGUSIPLEXとVIGUSIウルフォフの主剤は、2種オイルであるため、軽い使用感でありながら、髪が落ち着くところが特徴の一つとなっています。2種オイルとは、両親媒性エステル(浸透性:ダメージ部にも馴染む)と髪表面用のオイルの水分散です。
【髪質・悩み別】ヘアミルクの選び方
自分の髪質や悩みに合った製品を選ぶことが、ヘアケアの最も重要なポイントです。ここでは代表的な髪質ごとにおすすめのヘアミルクの選び方を解説します。
細くて絡まりやすい髪(軟毛・細毛)
基本的にミストが向くと思われます。軟毛や細毛の方は、油分が多すぎると髪が重くなり、ぺたっとした印象になりがちです。そのため、水分補給を主体とした軽やかな質感のヘアミルクが適しています。内部を補強する加水分解ケラチンや加水分解シルクといったタンパク質由来の成分が配合されているものがおすすめです。髪にハリコシを与え、ふんわりとまとまる髪を目指せます。
硬くて「うねりパサつく髪」
剛毛でごわつきやすい髪には、髪を柔らかくし、適度なエモリエント効果の高い、油分を適度に含んだヘアミルクが有効です。ドロップエッジ2が最適です。可塑機能(かそ:柔らか)専門のエステルが主剤と水分蒸散の抑止に優れているからです。さらに3種の保水機能成分が配合されています。「保湿は保湿成分ではなく、保水成分によって担保される。」は、極めて重要です
- Point:可塑性(かそせい)エステル
- 特に髪を柔らかくする機能として「可塑性」が重要です。単純な保湿だけでなく、髪自体の柔軟性を高めるエステル(例:ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル)や植物油(例:マカダミアナッツ油)が配合されている製品は、剛毛の扱いにくさを効果的に改善します。ドロップエッジ2は、スキン用にも使われるミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテルを使用し最適です。PROILは、ホホバやアルガンではなく、吸着精製マカダミアを主剤としています。
うねり・パサつきが気になる髪
髪のうねりやパサつきは、毛髪内部の水分バランスの乱れが主な原因です。湿度の影響を受けにくい均一な水分状態に整えることが重要になります。そのため、保水力に優れた成分と、髪表面をコーティングして湿気の侵入や水分の蒸発を防ぐ疎水性シールド機能を併せ持つヘアミルクを選びましょう。ダメージ部にもなじむエステルとして、ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテルを使用しています。
- Anti-Frizz(アンチフリズ)処方
- 『ドロップエッジ2』は、空気中の水分を過剰に吸い込んでうねりを引き起こす「フリズ現象」(極めて大切な概念)。に着目し開発されたヘアミルクです。3種の保水成分と、ダメージ部になじみやすい親水性領域を持つ疎水性シールドによって、うねり・ごわつき・パサつきを抑制します。極めて大切な概念です。
ヘアミルクの正しい使い方
ヘアミルクの効果を最大限に引き出すには、正しく使うことが不可欠です。「内側ファースト」と「均一に塗布すること」を意識すれば、濡れた髪でも乾いた髪でも効果的にごわつきや広がりを抑制できます。
使用するタイミング:朝と夜、どっち?
いつでもお好みのタイミングでご使用いただけます。夜、お風呂上がりのタオルドライ後に使えば、ドライヤーの熱から髪を守り、寝ている間の乾燥や摩擦を防ぎます。朝のスタイリング前に使えば、パサつきを抑えてまとまりやすい髪に整えます。
使用量の目安
ドロップエッジの使用目安は以下の通りです。
- ショート:10円玉硬貨以下
- ミディアム:500円玉硬貨大
- ロング:500円玉硬貨大を2個分~
塗布のポイントと手順
- 1. ヘアミルクをとる
- 適量を手のひら全体に薄く広げます。
- 2. 内側からなじませる
- バックの内側からなじませます。髪を握りしめず、払うように塗布するのがコツです。(やや多めを均一化塗布するイメージ。)
- 3. 顔周りと表面
- 顔周りや髪の表面は、手に残った少量をなじませる程度で十分です。(少量を足しても良い)
- 4. 均一になじませる
- 最後にコームや手ぐしで髪全体をとかし、ムラなく均一に行き渡らせます。
- 5. ヘアアイロン前にも使用可能
- ヘアアイロン前のベース剤としてもご使用いただけます。
【成分で選ぶ】プロが注目するポイント
成分表示を読み解くと、製品の本当の実力が見えてきます。ここでは特に注目したい成分と思想について解説します。
SPIRITSの製品開発は「シンプルに、各成分の機能を最大限に発揮させる」という思想に基づいています。そのため、トリートメントの形状(ミスト、ミルク、オイル)ごとに、最適な成分構成を根本から変えています。
保湿・補修成分
髪の潤いを保ち、ダメージを補修する成分です。形状によって推奨される成分は異なります。
- ミストタイプにおすすめ
- 浸透性に優れる水系のミストには、還元型結合ケラチン、ナノ化セラミドなど、分子が小さく内部補修効果の高い成分が適しています。
- ヘアミルクにおすすめ
- ミルクには、トリプロピレングリコールのような保水成分や、保水性多糖類が、髪の内部と外部の両方から潤いを守るのに効果的です。
エモリエント成分(油性成分)
髪を柔らかくし、艶を与え、水分の蒸発を防ぐ成分です。ヘアミルクは水分と油分を混合するため、酸化安定性も考慮する必要があります。
- 植物オイル
- シア脂、マカデミア種子油、アルガンオイルどが代表的な植物由来オイルです。 髪に潤いを与え、柔らかくしなやかな質感へ導きます。ヘアミルクは、水系と油系の混合ですから。特に、植物油の酸化が問題になる可能性はあります。
- エステル油
- 植物オイルよりも酸化に強く、ヘアミルクや洗い流さないトリートメントに適した油性成分です。 代表的なミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテルは、髪を柔らかくする「可塑性」、 ダメージ部になじみやすい「親水性」、ベタつかず蓄積しにくい「疎水性シールド」を併せ持つ高機能エステルです。

シリコーンの有無
ジメチコンなどに代表されるシリコーンは、髪をコーティングして指通りを良くし、熱などから保護する効果があります。一方、ノンシリコンは軽い仕上がりや根元のボリュームを求める方に適しています。これは一概にどちらが良いというものではなく、求める仕上がりの好みで選ぶことが重要です。
ごわつき・パサつきの抑制を最優先するなら、シリコーンの有無よりも、前述した「可塑性」や「保水性」を持つ成分が配合されているかを重視することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
- Q. 結局、どのヘアミルクを選べばいいですか?
- A. まずはご自身の髪質と悩みを明確にしましょう。その上で、この記事で紹介した「選び方」や「成分」を参考に、ご自身の目的に合った製品を探すことをおすすめします。
- Q. ヘアミルクは毎日使ってもいいですか?
- A. はい、毎日のご使用を推奨します。日々のダメージから髪を守り、継続的に潤いを補給することが美髪への近道です。ただし、使用量を守り、ベタつかないように注意しましょう。
- Q. カラーや縮毛矯正の後でも使えますか?
- A. はい、むしろ積極的なご使用をおすすめします。施術後の髪はデリケートな状態です。ヘアミルクで保湿・補修成分を補うことは、ダメージの進行を防ぎ、施術の効果を長持ちさせる上で非常に有効です。特にダメージが気になる場合は、浸透性に優れたミストタイプとの併用も効果的です。
- Q. 複数のアイテムを併用する意味はありますか?
- A. 単品で満足できれば、併用の必要はありません。しかし、より高い効果を求める場合には意味があります。
・ミスト+ミルク/オイル: 内部補修(ミスト)と外部の質感向上(ミルク/オイル)を両立させたい場合に。
・ミルク+オイル: 特に乾燥やパサつきがひどい髪に、さらに高いまとまりと艶を求める場合に。 - Q. メンズでも使えますか?
- A. もちろんお使いいただけます。髪のパサつきや広がりが気になる男性には非常に有効なケアアイテムです。ただし、スタイルによってはヘアオイルの方が向いている場合もあります。
まとめ:あなたに最適な一本を見つけよう
この記事では、ヘアミルクの基本から専門的な選び方までを解説しました。最後に、悩みに応じた選び方のポイントを改めてまとめます。
- 髪のパサつき対策
- 髪のパサつきが気になる方は、保水力の高い成分に注目しましょう。 代表的な成分にはトリプロピレングリコールや多糖類などがあり、 髪内部と外部の水分を保持し、髪のおちつきを保ちます。
- 髪の広がり・うねり対策
- 髪の広がりやうねりを抑えたい方は、髪を柔らかくする可塑性と、 湿気から守る疎水性シールド機能を持つ成分がおすすめです。 髪を扱いやすく整えます。
人気ランキングだけでなく、ご自身の髪と向き合い、成分を理解して選ぶことで、もう「なんとなく」のヘアケアから卒業し、理想の髪を目指しましょう。